今日のプログラムは,三台のフォルテピアノで,ベートーベン,シューマン,ショパンを弾くというもの。最初は,ヴァルターで,ベートーベンのピアノ嬰ハ短調「月光」,シュトライヒャーでシューベルト,メンデルスゾーン,シューマンの歌曲,シューマンのパピオンニ長調,プレイエルでショパンのピアノソナタ第2番変ロ短調が演奏された。
ヴォルターは,1795年製の復元楽器,跳ね上げ式で63鍵。ベートーベンは,月光の第1楽章をダンパーなしに弾くように指示しているという。このフォルテピアノは,現代のピアノに比べ,減衰が速く,ダンパーなしでも音が干渉しない。今回,良かったのは,このピアノで月光が聴けたことで,現代のピアノでは聴けないものであった。シュトライヒャーは,1845年製で跳ね上げ式,基本構造は,ヴォルターと同じで革巻きハンマーである。ただ,現代のピアノに比べ,鉄柱二本で支えられており,木製のケースをならすものである。これで,テノールのルーファス・ミュラーとの歌曲は,作曲された当時の雰囲気を表していて興味深く聴けた。最後のプレイエルは,突き上げ式であるが,シングル・エスケープメントで,明らかに低温部分が厚く聞こえ,前二つのピアノとは明らかに違っていた。
異なるフォルテピアノを聴けたのは,非常に良かった。特に,ヴァルターによる月光は,忘れがたいものであった。