2013年7月26日金曜日

BCJ 世俗カンタータ vol.3

  BCJ今期二回目の定期、世俗カンタータの第三回目。
 今回は、大学教授 祝賀カンタータである。「響きに交わす弦による 一致する不一致よ」、「鎮まりしアイオロス」である。今回は、合唱は、メインとならず、四人の独唱によるレチタティーボからなっている。相変わらず、合唱の水準は高く、また、オケもすばらしい。聞いていて、眠たくなることはない。これらのカンタータは、大学教授を祝賀するために、学生やパトロンの依頼によって、バッハが作曲したものである。個人を祝うために作曲を依頼するということにまずは驚く。それぞれが、楽劇であって、最後に個人をたたえ終わる。バッハ、約五十曲の世俗カンタータを作曲したことは知られているが、二十曲ほどの楽譜しか残っていない。そのうちの二つを優れた演奏で聞けたということは、幸運であった。
 公演プログラムは、千円と高いけど、解説がよいので買う。今回は、巻頭言がおもしろい。鈴木雅明が、トランペットをやったことが書いてあって、最初もらった譜面はドとソしかなく、不満があったのだが、練習後、ほかのトランペットと共に吹くドシラの和音を聞いたとき、楽しくなったそうである。バッハの時代の第三トランペットは、ドとソを受け持っていて、これはティンパニーと同じで音楽の土台を構成している。バロックトランペットは、ピンストンがなく、倍音しかだせない。しかし、バッハは、トランペットに半音をも演奏するように作曲している。鈴木は、半音を出せるトランペット奏者に出会ったとき、半音が不安定で、異様な音階に驚き、まさにこれがバロック時代が求めた苦痛と煩悶の象徴であるところの半音階であると理解したという。しかし、半音階を演奏する奏者に出会ったことで、トランペットを生かすために演奏そのものを見直すようになったそうだ。